上の事例は、いずれも夏物商品でありながら、水洗い禁止となっている。これらの事例でも明らかなように、ポリウレタン弾性糸は汗や皮脂に含まれる脂肪酸によって脆化すると考えられるので、こまめな洗濯・クリーニングによって、これらを早い段階で除去しておく必要がある。いずれも、着用した後クリーニングせずに長期間放置したり、過去のクリーニングでドライクリーニングしか行われておらず水溶性汚れ除去が十分でないと思われ、全体に再汚染(あるいは逆汚染)で黒ずみ、着用に支障が出るほどであった。上、真ん中の2事例は、レーヨンが主素材であるが、真ん中の製品は水洗いでも収縮はなく(上の事例は不明)、少なくとも適正に処理すれば106(手洗い)表示が可能な商品である。下の綿ジャケットは「真っ白」な製品であり、ドライクリーニングだけでは、すぐに着用できないほど黒ずんでしまう事は、クリーニング業者にとっては「常識」であるが、絵表示を付けるアパレル側では「常識」ではないのであろうか?
いずれにせよ、肌に直接触れるアイテムは、できるだけ水洗いできるようにして欲しいものである。
|
衿の黄変は、過炭酸ナトリウムを使用して漂白処理し除去したが、ブクツキはポリウレタン弾性糸が切れていると思われるので修正は不可能である。
市場にこのようなストレッチ製品が出回り始めてそろそろ劣化が危惧されるほどの年数が経過している。クリーニング受付時に汗が付着しやすい部分や、肘や膝、臀部、脇や袖の付け根など着用時に力がかかりやすい部分にこのようなブクツキや伸びが発生する可能性があることを事前に説明しておくことが、クレームを未然に防止するポイントであると言える。
|